ヤン・ファーブル「Tribute to Hieronymus Bosch in Congo」

玉虫の鞘翅(さやばね)を扱ったヤン・ファーブル (Jan Fabre) のモザイク画シリーズ「Tribute to Hieronymus Bosch in Congo (2011-2013)」展が、表参道にあるエスパス ルイ・ヴィトン東京にて開催されます。本シリーズは彼の代表作とも言えるもので、日本での展示は今回が初となります。

THE CIVILIZING COUNTRY OF BELGIUM (2012) – © Angelos bvba

作品は、19世紀にベルギーがコンゴに対して行った苛烈な植民地政策の歴史がテーマ。ベルギーの文明化が進む一方で、搾取され続けた植民地コンゴに隠された「闇」を、ネーデルランドのルネサンス期の画家ヒエロニムス・ボスが描いた「地上の悦楽の園」に含まれる寓話や教訓の表象に置き換え、ファーブルの象徴である昆虫のスカラベ(ブラジルタマムシ)を用いて表現しています。スカラベが持つ艶やかな緑色の羽根が、ガラスに囲まれたエスパス ルイ・ヴィトン東京に差し込む光を反射して、同スペースをさまざまな色彩と深い闇が潜む空間へと変貌させます。
シリーズの新たな展開として、モザイク画6点と本年制作されたものも含む彫刻作品8点の計14点の作品が展示されます。スカラベの持つ豪奢な輝きと、一方で生物の一部であった儚さ、そしてヒエロニムス・ボスの「地上の悦楽の園」からモチーフを取り入れた作品群が放つ、美しくも儚い、闇を携えたアイロニカルな世界観が堪能できます。

会期:2015年7月9日(木) ~ 9月23日(水)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京(表参道)

写真:  THE CIVILIZING COUNTRY OF BELGIUM (2012)
(文明をもたらす国、ベルギー)
シリーズ『ヒエロニムス・ボスとコンゴ―ボスを讃えて(2011-2013)』より
木に玉虫の鞘翅
227.5 x 173 x 8.1 cm
写真:: Pat verbruggen
© Angelos bvba