メキシコ在住のベルギー人アーティスト、フランシス・アリスは、都市の中を歩きまわることで社会に潜む問題をとらえ、さまざまな表現手段を用いて現代社会への寓意に満ちた作品を制作してきました。
4月から9月にかけて2期に渡り東京都現代美術館にて開かれたアリスの個展が、10月26日から広島市現代美術館にて開催されます。
メキシコで制作した初期の代表作からジブラルタル海峡で行った新作の大規模なプロジェクトまで展示されます。
フランシス・アリス(Francis Alÿs)
1959年アントワープ生まれ。ベルギーおよびイタリアで工学と建築を学んだ後、1986年からメキシコに在住。主にメキシコの社会状況の寓意に満ちた作品を、パフォーマンス、映像、写真、絵画、ドローイングなど異なる手法を用いながら、「歩くこと」を主題に制作している。90年代後半よりヴェネツィア・ビエンナーレなどに招待され、国際的に注目される。2010年にロンドンで大規模な個展が開催され、翌年にニューヨークに巡回。2012年にはドイツの国際展「ドクメンタ13」に参加。
真夜中に無人のギャラリーに一匹の狐が放たれ、館内を歩きまわる姿を監視カメラで撮影した「The Nightwatch」、アリスが短い棒を片手に鉄柵やガードレールなど街中の公共物を叩いて音を鳴らしながら、ロンドン市街を歩きまわるだけの作品「Railings」、英国の近衛兵軍楽隊が異なる地点からバラバラに歩行を開始し、ロンドンの市街をランダムに動きまわる作品「Guards」、男性が羊を先導してポールを周回しつづけるのを淡々と描いた作品「愛国者たちの物語」などがある。
会期:2013年10月26日(土) ~ 2014年1月26日(日)
会場:広島市現代美術館