フランダースの光:ベルギーの美しい村を描いて

19世紀末から20世紀初頭にラーテム村に集った芸術家たちは、その美しい風景と素朴な村人をモデルに数多くの作品を制作しました。彼らは「ラーテム派」と呼ばれ、ベルギー美術史において重要な役割を果たすことになります。ラーテム派は各々の作風こそ個性的なものですが、その根底に共通するのは村人や画家同士の交流を通して見出した心の解放でした。人物や自然を素直な視点をもって表現する、思想にとらわれない自由な感覚こそがラーテム村の芸術の魅力といえるでしょう。

ラーテム村の精神的支柱で象徴主義の彫刻家ジョルジュ・ミンヌ、印象派の影響を受けた光り輝く絵画様式リュミニスムの代表エミール・クラウス、表現主義をベルギーに持ち込んだギュスターヴ・ド・スメットやフリッツ・ヴァン・デン・ベルグ、そしてベルギーへ留学してクラウスに師事した日本人画家・太田喜二郎と児島虎次郎など、本展覧会では日本初公開作品を含む14作家・約90点の絵画・彫刻作品によって、ラーテム派の芸術を体系的に紹介する日本で初めての機会となります。フランダースの田園風景を描いた作品を愛でつつ、ゆったりとした時の流れを味わってください。

2010年10月31日 – 2011年1月10日
場所 奥田元宋・小由女美術館