ベルギー映画「オーバー・ザ・ブルースカイ」

昨年、大阪ヨーロッパ映画際にて日本初上映となったベルギー映画「 The Broken Circle Breakdown 」が、「オーバー・ザ・ブルースカイ」という邦題で劇場公開されます。

本国ベルギーでは、30人に1人が観たという大ヒットを記録し、ヨーロッパを席巻。ベルリン国際映画祭では観客賞第1位、トライベッカ映画祭(ニューヨーク)では国際長編部門、 主演女優賞および脚本賞を受賞したほか、数多の国際映画祭でも絶賛されました。また、第86回アカデミー賞の外国語映画部門にノミネートされています。
映画全編に流れるブルーグラス・ミュージックは、すべて出演俳優たちによる演奏。作品全体の情感を演技だけではなく、音楽でもダイレクトに訴えてくることで、観る者の胸を打ち、作品の世界へと深く誘っていきます。スコッチ・アイリッシュ系移民のソウルミュージックをルーツに持つブルーグラスは、時空や国境を越えて、普遍的な人生の苦楽や希望について歌われてきました。このブルーグラス・ミュージックが、単なるサウンドトラックにとどまらず、登場人物の喜び、悲しみ、楽しみ、苦悩といった感情のすべてを表現することで、作品を優れた音楽映画に仕立てています。
また、本作のために出演俳優たちによって結成されたバンド THE BROKEN CIRCLE BREAKDOWN BAND によるサウンドトラックは、全米ヒットチャートに19週チャート入りを果たし、最高位10 位まで駆け上りました。

監督は「あきれた日常」のフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、主演は、同作品で主人公ギュンターの叔父を、「HASTA LA VISTA (アスタ・ラ・ビスタ) ~ オトコになりたい ~」でラールスの父親を演じたヨハン・ヘルデンベルグ (Johan Heldenbergh)、そして「リタの息子」や「ロフト.」に出演した女優ヴェールレ・バーテンス。いずれも大阪ヨーロッパ映画祭で上映され、映画ファンにはお馴染みの顔ぶれです。
昨年の大阪ヨーロッパ映画際での上映を見逃した方は、この機会にぜひ足をお運びください。ブルーグラス・ミュージックが紡ぐ美しい愛の物語は、日本人の心の琴線に触れることでしょう。

3月22日(土)から東京のユーロスペースにて上映されるのを皮切りに、全国の劇場で順次公開されます。上映スケジュールおよび劇場情報は、公式サイトをご覧ください。

《ストーリー》
エリーゼは、篤い信仰心を持った情緒的な女性。タトゥー・デザイナーで、スタジオを開いている。体中に自身の歴史を語るタトゥーを彫り込んでいた。
ディディエは、カウボーイに憧れるアナーキスト。ブルーグラス・バンドでバンジョーを弾き、ベルギー国内をキャラバンでまわっている。彼にとって、「自由の国=アメリカ」は理想の国だ。
突然恋に落ちた二人。まもなくエリーゼは天性の歌声を開花させ、ディディエのバンドで歌うようになる。音楽は、二人の愛を紡ぎ、絆を固くしていった。プロポーズ、結婚、そして子供の誕生。それは、型破りな二人にとって完璧な幸せだった。しかしやがて愛娘が重い病気にかかると、それまでの全てが一変し、二人の愛が試されることになる・・・。