「Ben X」は、実話をもとにした小説を監督のニック・バルタザールが映画化した作品。第15回大阪ヨーロッパ映画祭で上映された本作品が、EUフィルムデーズ2009に参加します。
2002年、軽度の自閉症を患う17歳の青年が、ゲントの観光名所フランドル伯の城(ベルギー)から飛び降り、天国へと旅立ちました。新聞で見つけたこの実話をもとに、ニック・バルタザールは「Niets was alles wat hij zei」を執筆しました。
この作品は発表後、Roel Vanderstukkenの主演で舞台化されました。助成金などの資金援助を一切受けることなく上演を開始し、プラガ・カーンの曲や、7分間のショートフィルムを組み込むなど、マルチメディアを駆使した舞台となり話題を呼びます。
この舞台作品の成功が、やがてバルタザールの映画監督デビュー作となる「Ben X」を生み出すきっかけとなりました。映画「Ben X」は、2007年の第31回モントリオール世界映画祭に出品され、世界各国の審査員が選ぶ観客賞「Grand Prix des Amériques」を受賞しています。
「Ben X」は、軽度の自閉症を患うベンの視点から描かれた作品。ベンは、オンラインゲーム「アークロード」でヒーローになりきり、思いのままの世界に浸って生きる青年です。しかしながら、ゲームの世界とは裏腹に、現実の世界ではクラスメートからの尽きることのないいじめと屈辱に耐える日々を送ります。
この映画で見られるような、バーチャルな世界で繰り広げられるシーンと実写シーンが巧みに交錯する手法は、映画史上初めての試みです。
在日EU加盟国大使館・文化機関、駐日欧州委員会代表部および東京国立近代美術館フィルムセンターの共催で、選りすぐりのヨーロッパ映画を一挙に上映する映画祭、EUフィルムデーズ2009。「Ben X」は2回上映されます。
オランダ語(日本語・英語字幕) 91分
場所 東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール